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ヤーズ配合錠に避妊効果はある?保険ピル(LEP)とOCの違い・飲み忘れ対処まで

ヤーズ配合錠の避妊効果や保険適用ピル(LEP)と低用量ピル(OC)の違い、飲み忘れ時の対処法を解説する記事のアイキャッチ画像

「生理痛の治療でヤーズを飲み始めたけど、これって避妊もできているの?」 そんな疑問を抱く方は少なくありません。

結論から言うと、ヤーズには避妊専用ピルと同じ高い排卵抑制作用があります。

ただ、日本ではあくまで「治療薬」という扱いのため、公式には避妊効果が謳われないという背景があります。

この記事では、避妊の仕組みや万一の飲み忘れ時のリスク、医師の説明の裏側まで、知っておきたいポイントを分かりやすくまとめました。

この記事でわかること 3 点

  • ヤーズが妊娠を防ぐ「3つの仕組み」
  • 治療薬(LEP)と避妊薬(OC)を分ける日本独自のルール
  • 飲み忘れた時の妊娠リスクと具体的な対処法
目次
  1. ヤーズ配合錠の避妊効果は?結論「避妊薬と同等」の仕組みを解説
  2. なぜ医師は「避妊用ではない」と言うのか?保険適用のルール
  3. ヤーズの避妊成功率は?他の避妊法との徹底比較
  4. 【最重要】ヤーズを飲み忘れた!妊娠リスクと対処法
  5. 副作用と安全性:服用中に気をつけるべき「血栓症」のリスク
  6. ヤーズ服用中の避妊に関するよくある質問(FAQ)
  7. まとめ:ヤーズの特性を理解して、正しく賢く服用しよう

ヤーズ配合錠の避妊効果は?結論「避妊薬と同等」の仕組みを解説

ヤーズ配合錠を服用している間、女性の体内では避妊専用のピルを飲んでいる時と全く同じ「妊娠を成立させないための生化学的変化」が継続的に起きています。

ヤーズが超低用量でありながら、極めて高い避妊効果を発揮する背景には、医学的に裏付けられた3つの強力な防御壁が存在します。

主成分が「排卵」を強力にストップさせる

ヤーズ配合錠の最も主要な作用は、卵巣から卵子が放出される「排卵」を、文字通り停止させることです。

ヤーズは「超低用量ピル」に分類されますが、含有するエチニルエストラジオール(卵胞ホルモン)0.02mgと、ドロスピレノン(黄体ホルモン)3.0mgの絶妙なバランスにより、排卵を強力に抑制します。

毎日決まった時間にこれらのホルモンを摂取することで、脳の視床下部や下垂体は「体内に十分な女性ホルモンが存在する」と認識します。

その結果、脳からの「卵胞を育てなさい」「排卵しなさい」という指令(FSH:卵胞刺激ホルモン、LH:黄体形成ホルモン)の放出がブロックされます。

指令が届かない卵巣では卵胞が発育せず、排卵が起こりません。精子と出会うべき卵子がそもそも存在しないため、理論上、妊娠は100%成立しなくなるのです。

特に、ヤーズの主成分であるドロスピレノン(DRSP)は「第4世代」の合成黄体ホルモンであり、本邦初の成分です。

従来の黄体ホルモンと比較して、副作用(むくみ、体重増加など)を抑えつつ、用量依存的に非常に効率的な排卵抑制効果を得られるよう設計されています。

臨床試験でもDRSP 3.0mgの投与により確実な排卵抑制が確認されており、これがヤーズの高い信頼性の根拠となっています。

子宮内膜を厚くせず「着床」を防ぐ

万が一、極めて稀なケースとして排卵が起きてしまい、受精が成立したとしても、ヤーズは「第2の防御壁」を展開します。それが「子宮内膜増殖抑制作用」です。

通常の月経周期では、排卵に向けて子宮内膜が「ふかふかのベッド」のように厚くなり、受精卵を迎え入れる準備をします。

しかし、ヤーズを服用している間は、外部から取り込まれるホルモンによって子宮内膜が薄い状態(萎縮状態)に維持されます。

受精卵にとって、薄い内膜は「ベッドがない状態」と同じです。着床ができなければ妊娠は成立せず、そのまま体外へ排出されます。

この作用は、月経困難症の治療においても重要です。子宮内膜が薄くなることで、生理時の出血量が劇的に減少し、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの産生も抑えられるため、生理痛の軽減と避妊の確実性を同時に達成しているのです。

精子の侵入を阻む「子宮頸管粘液」の変化

ヤーズ配合錠の避妊効果や保険適用ピル(LEP)と低用量ピル(OC)の違い、飲み忘れ時の対処法を解説する記事のアイキャッチ画像

3つ目の医学的メカニズムは、子宮の入り口である「子宮頸管」を満たす粘液(おりもの)の変化です。

排卵期が近づくと、通常は精子が子宮内へ泳ぎやすいよう粘液が透明でサラサラになりますが、ヤーズに含まれるプロゲスチンの作用により、粘液は白濁し、非常にベタベタとした粘り気のある状態に変化します。

この変化した頸管粘液は、物理的なバリア(栓)として機能します。膣内に射精された精子が、子宮内へ進入し、卵管へと泳ぎ進むのを強力に阻止します。

つまり、ヤーズは「受精」そのものが起こる確率を極限まで引き下げているのです。

以上の3段階(排卵させない・着床させない・精子を通さない)という完璧な布陣により、ヤーズは避妊専用ピルと医学的に全く同等の避妊能力を維持しています。

▼ヤーズの成分・薬理詳細データを見る

項目詳細内容期待される効果
ドロスピレノン3.0mg(第4世代黄体ホルモン)強力な排卵抑制、抗ミネラルコルチコイド作用(むくみ抑制)
エチニルエストラジオール0.02mg(卵胞ホルモン)周期の安定、不正出血の低減、超低用量による血管リスク軽減
投与設計24日間実薬 + 4日間偽薬21/7処方よりホルモン変動を抑え、排卵抑制の安定化を図る

※ヤーズは「超低用量」に分類され、従来の低用量ピル(EE 0.03mg以上)よりも副作用が軽減されるよう設計された、最新世代のLEP製剤です。

なぜ医師は「避妊用ではない」と言うのか?保険適用のルール

「ヤーズにこれほど高い避妊効果があるなら、なぜ病院の先生は診察室で『避妊目的ではない』と言うのか?」

この矛盾は、薬の「能力」の問題ではなく、日本の複雑な「医療保険制度」という大人の事情によって生まれています。

読者の皆様が医師の説明に対して感じる「建前」の正体を、ここで明確にします。

「月経困難症の治療」が目的だから保険が効く

日本国内において、ヤーズ配合錠は「月経困難症」および「子宮内膜症に伴う疼痛」の改善を目的とした治療薬として、厚生労働省から製造販売承認を受けています。

公的医療保険制度は「病気や怪我の治療」に対して費用を補助する仕組みです。

ヤーズが生理痛(月経困難症)という「病気」を治すための薬として認められているからこそ、私たちは窓口で3割の自己負担で処方を受けることができるのです。

一方、健康な人が「妊娠したくない(避妊)」という希望だけでピルを服用することは、制度上は病気の治療ではないとみなされ、保険が適用されません。

医師が「これは避妊薬ではありません」と説明するのは、保険診療を行う以上、その処方が「治療目的」であることを患者と共有し、適切に運用していることを示す法的・倫理的な義務があるためです。

避妊薬(OC)と治療薬(LEP)の法的な区分け

日本では、全く同じような成分のピルが、その目的によって2つの異なる名称でカテゴリー分けされています。

項目OC(経口避妊薬)LEP(ヤーズなどの治療薬)
正式名称Oral ContraceptivesLow dose Estrogen Progestin
主な目的望まない妊娠の防止(避妊)月経困難症・子宮内膜症の治療
費用自費(全額自己負担:1ヶ月2,500〜3,000円程度)保険(3割負担:1ヶ月900円程度+診察料)
実質的な効果避妊(+副次的に生理痛軽減)生理痛軽減(+副次的に避妊)
承認内容避妊薬として承認されている避妊薬としての適応はない

中身のホルモン成分や、体内で起きる避妊の仕組みはほぼ同一です。

しかし、国への届け出上の「目的(効能・効果)」が違うため、法的には全く別のカテゴリーとして扱われ、医師が「建前」を使わざるを得ない状況が生まれています。

「副次的効果」という医学的実態

生理痛などの医学的適応がない人に、避妊目的だけでヤーズを保険処方することは保険の不正利用にあたるため、医師は絶対に行いません。

しかし、月経困難症の治療としてヤーズを服用し、その結果として「副次的に高い避妊効果が得られる」こと自体は、医学的に極めて当然の現象であり、否定されるものではありません。

日本産科婦人科学会のガイドライン等においても、LEP製剤(ヤーズ等)服用中は高い避妊効果が得られることが示唆されています。

医師が公式に「避妊薬です」と謳えないだけで、実際には治療と避妊という二つの大きなメリットを同時に享受しているのが、ヤーズ服用者の現実的な姿と言えます。

[メディカルコンテンツ編集部のアドバイス]

「医師から避妊効果がないと言われた」と戸惑う読者の声がよく届きますが、その言葉の真意は「(保険のルール上、避妊薬としての)効能は公式には認められていない」という点にあります。

実際には、飲み忘れさえなければ妊娠リスクは極めて低くなるため、言葉の表面的な否定に過度な不安を感じる必要はありません。

治療が進む過程で「ついでに避妊もできている」と捉えるのが、最も正確な理解です。

ヤーズの避妊成功率は?他の避妊法との徹底比較

ヤーズ配合錠、コンドーム、避妊なしの場合の年間避妊失敗率を比較した棒グラフ(正しい服用時・飲み忘れ時の違い)

ヤーズ配合錠を毎日正しく服用した場合、その確実性は現代医学で利用可能なあらゆる避妊法の中で、最も信頼できるレベルに位置します。

具体的な数値(パール指数)を基に、その圧倒的な優位性を解説します。

正しく服用した場合の避妊成功率(パール指数)

避妊の確実性を測る世界共通の指標に「パール指数」があります。これは、100人の女性がある避妊法を1年間継続した際に、何人が妊娠したかを示す数値です。

この数値が低いほど、避妊効果が高いことを意味します。

ヤーズを含む低用量ピル(超低用量含む)を、理想的な状態で(1日の飲み忘れもなく正確に)服用し続けた場合の失敗率は0.3%です。

これは1,000人の女性が1年間使っても、妊娠するのはわずか3人という計算になります。

コンドームと比較した際の見逃せない差

一般的に広く利用されているコンドームと、ヤーズの効果を比較すると、その差は歴然です。

避妊方法理想的な使用(失敗率)一般的な使用(失敗率)
低用量ピル(ヤーズ)0.3%9.0%
コンドーム2.0%18.0%
避妊リング(IUD/IUS)0.2%0.2〜0.8%
女性不妊手術0.5%0.5%
避妊なし(自然)85.0%85.0%

出典:厚労省研究班監修「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」Hatcher, RA et al. 2018.

特に注目すべきは「一般的な使用(ついうっかりのミスを含む、現実的な使用状況)」での数値です。コンドームの失敗率は18.0%まで上昇します。

これは、約5〜6組に1組が1年以内に妊娠してしまうという、意外にも高いリスクを示しています。対してピル(ヤーズ)は、多少の時間のズレや飲み忘れがあったとしても9.0%に留まります。

ヤーズは「個人の意志と管理」で、コンドームよりも遥かに高い安全性を確保できる手段なのです。

「避妊効果」がいつから現れるのか?

ヤーズを飲み始めて、いつから避妊効果を期待してよいのか。これには「7日間」という明確な境界線があります。

  1. 生理初日(Day1)から飲み始めた場合
    服用を開始したその当日から、その周期の排卵を抑え込むため、高い避妊効果が期待できます。
  2. 生理開始から数日遅れて(2〜5日目など)飲み始めた場合
    服用を開始してから 「7日間連続」 で飲み終えるまでは、排卵が起こる可能性が残っています。
  3. この1週間は必ずコンドーム等の他の避妊法を併用しなければなりません。

これは国際的なピル使用ガイドラインに準拠した標準的な注意事項であり、服用開始直後の予期せぬ妊娠を防ぐために、すべての読者が守るべき鉄則です。

避妊効果を弱めてしまう「飲み合わせ(相互作用)」

ヤーズの避妊能力は、他の薬や食品によって低下することがあります。以下のものを併用する際は、避妊効果が不安定になるリスクを考慮し、医師に必ず相談してください。

  • 抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタールなど)
    肝臓での代謝を早め、ピルの血中濃度を下げてしまいます。
  • リファンピシン(抗結核薬)
    非常に強力にピルの効果を弱めることが知られており、併用中に妊娠した例が報告されています。
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)
    ハーブティーやサプリメントに広く含まれています。代謝酵素を活性化させ、ピルの有効成分を素早く分解してしまうため、避妊効果が消滅する恐れがあります。
  • 一部の広域抗生物質(ペニシリン系、テトラサイクリン系など)
    腸内細菌叢を変化させることで、ホルモンの再吸収(腸肝循環)を妨げ、結果的に血中濃度が下がり、不正出血や避妊効果の低下を招くことがあります。

【最重要】ヤーズを飲み忘れた!妊娠リスクと対処法

どれだけ気をつけていても、忙しい毎日の中で「ついうっかり」飲み忘れてしまうことはあります。超低用量ピルであるヤーズは、従来の低用量ピルに比べてホルモン含有量が非常に少ないため、理論上は「わずかな飲み忘れ」が排卵の再開に繋がりやすいという側面があります。

ここでは、飲み忘れが発生した際、どのようにして妊娠リスクを最小限に食い止めるべきか、具体的なレスキューフローを詳述します。

1日(24時間以内)の飲み忘れなら即服用

「本来飲むべき時間から、次の服用時間までの間に気づいた」という24時間以内の遅れであれば、過度に心配する必要はありません。

【対処法】

気づいた時点ですぐに、飲み忘れた 1 錠を服用してください。そして、その日の分も、通常通りの時間に服用します。つまり、その日は2錠飲むことになります。

この場合、体内のホルモン濃度は致命的なレベルまでは下がっていないため、避妊効果は実質的に維持されると考えられています。

2日以上(48時間以上)飲み忘れた場合の妊娠リスク

2日連続で飲み忘れてしまった場合、血中ホルモン濃度は「排卵抑制を維持できないレベル」まで急落します。

これにより卵巣が眠りから覚め、卵胞が一気に成長して排卵が起こるリスクが急激に高まります。

【対処法】

  1. 気づいた時点で、直近の飲み忘れ分1 錠をすぐに服用してください(それ以前の飲み忘れ分は廃棄します)。
  2. 当日の分も、通常通りの時間に服用します(この日も2錠飲むことになります)。
  3. その後はシート通りに続けますが、「再び7日間連続で飲み切るまで」は、性交渉を控えるか、コンドームを必ず併用してください。

最も危険なのは「新シートの第1週目」

ヤーズの1周期(28日間)の中で、飲み忘れが最も危険なのは 「休薬明け直後の第1週目」 です。

ヤーズは24日間実薬を飲み、4日間偽薬を飲みます。この休薬(偽薬)の4日間ですでに卵巣は少しずつ活動の準備を始めています。

もし第1週目の最初で2日以上飲み忘れると、合計で「4日+2日=6日間」もホルモンが入らない期間が続いてしまいます。

これは、卵巣に対して「もう排卵していいですよ」と許可を与えているのと同義です。

第1週目に2日以上飲み忘れ、その前の7日間(休薬期間中を含む)に避妊なしの性交渉があった場合、すでに受精・妊娠の準備が整っているリスクがあります。

この場合は、自己判断せず、直ちに緊急避妊薬(アフターピル)の検討のために受診することをお勧めします。

飲み忘れ時のリスク判断と緊急受診の目安

ヤーズは超低用量ピル(EE 0.02mg)であるため、高用量や中用量のピルに比べて「余裕」がありません。飲み忘れ+性交渉が重なってしまった場合、「たぶん大丈夫」という推測は危険です。

特に以下の条件に当てはまる場合は、速やかに処方医へ連絡してください。

  • 第1週目の飲み忘れで、その前後に性交渉があった。
  • 第3週目の後半に飲み忘れ、そのまま休薬期間に突入してしまうスケジュールになった。
  • 激しい下痢や嘔吐を伴い、薬が吸収されていない懸念がある。

緊急避妊(アフターピル)は72時間以内という時間制限があります。不安を感じたら、迷わずプロの判断を仰ぐことが、あなたの人生を守る唯一の確実な手段です。

ヤーズ配合錠を飲み忘れた場合の対処法を、気づいた時間や服用週数別に整理したフローチャート図

副作用と安全性:服用中に気をつけるべき「血栓症」のリスク

ヤーズの避妊効果を最大限に享受し、安全に生理痛をコントロールし続けるためには、副作用、特に「血栓症」に対する正しい知識が不可欠です。

血栓症のリスクを科学的な数値で比較する

血栓症とは、血管の中に血の塊ができ、それが肺や脳の血管に詰まってしまう重大な病気です。

ヤーズに含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)には血液を固まりやすくする性質があるため、服用していない人に比べればリスクはわずかに上昇します。

しかし、その「リスクの程度」を冷静に見つめる必要があります。

  • 非服用者の発症率:1万人中1〜5人/年
  • ピル服用者の発症率:1万人中3〜9人/年
  • 妊娠中の女性の発症率:1万人中5〜20人/年
  • 産後12週以内の女性:1万人中40〜65人/年

数値を見れば明らかな通り、ピル服用によるリスク増加(0.03〜0.09%)は、実は「妊娠中や出産直後のリスク」よりも遥かに低いのです。

「ピルは怖い」というイメージだけで判断するのではなく、こうした客観的なデータを踏まえたリスク管理が重要です。

ACHES(エイシス):絶対に見逃してはいけない5つの兆候

低用量ピル服用時に注意すべき血栓症の警告サイン「ACHES(激しい頭痛、視覚異常、胸痛、腹痛、脚の強い痛み)」を示したイラスト図

血栓症は、早期に発見して適切な処置を行えば、重症化を防ぐことができます。服用者が必ず暗記しておくべきサインが、英語の頭文字をとった 「ACHES(エイシス)」 です。

  1. A (Abdominal pain):激しい腹痛
    (腸などの血管に血栓ができている疑い)
  2. C (Chest pain):激しい胸痛、息切れ、押しつぶされるような痛み
    (肺や心臓の血管に血栓ができている疑い)
  3. H (Headache):激しい頭痛、めまい、失神、ろれつが回らない
    (脳の血管に血栓ができている疑い)
  4. E (Eye problems):突然の見えにくさ、視野が狭くなる、物が二重に見える
    (眼底の血管などに血栓ができている疑い)
  5. S (Severe leg pain):ふくらはぎの激しい痛み、腫れ、赤み、押すと痛い
    (足の静脈に血栓ができている疑い:最も頻度が高いサイン)

これらの症状が一つでも現れたら、直ちにヤーズの服用を中止し、夜間や休日であっても救急外来や産婦人科を緊急受診してください。

その際、「ヤーズ配合錠を服用中であること」を必ず医師に伝えてください。

日常生活でできる「血栓症予防」の3大原則

血栓症のリスクをさらに下げるため、服用者が日頃から実践できる予防法があります。

  • こまめな水分補給(脱水予防)
    血液がドロドロになるのを防ぎます。特に激しい運動の後、飲酒後、夏場などは意識的に水を飲みましょう。
  • 足を動かす(循環の維持)
    デスクワークや長距離移動(飛行機・新幹線・車)の際は、1時間に一度は立ち上がって歩く、または座ったまま足首を回す、ふくらはぎを揉むなどして、血液の停滞を防ぎましょう。
  • 禁煙の徹底
    タバコは血管を収縮させ、血栓症のリスクを爆発的に高めます。特に35歳以上で1日15本以上喫煙する方は、リスクが許容できないレベルに達するため、ヤーズを含むピルの服用自体が「禁忌(禁止)」とされています。

監修者からのアドバイス

「ピル服用中に最も大切なのは、自分の体の変化に敏感になることです。血栓症は非常に稀な副作用ですが、万が一の時にサインを知っているかどうかが生死を分けます。特に冬場の脱水や、寒い中での長距離移動は盲点になりやすいため注意が必要です。また、血圧が高い方や、激しい前兆(キラキラした光が見える等)を伴う片頭痛がある方も服用には慎重な判断が必要です。現在の健康状態をありのまま医師に伝え、安全な治療環境を共に作っていきましょう。」

ヤーズ服用中の避妊に関するよくある質問(FAQ)

ヤーズを服用している方々から、編集部によく寄せられる具体的な悩みや疑問に、医学的エビデンスに基づき回答します。

Q. ヤーズを飲んでいれば、彼氏との性交渉でコンドームは一切不要?

A. 避妊のみを目的にするなら理論上は不要ですが、推奨はされません。

ヤーズを正しく服用していれば、妊娠のリスクは極めて低くなります(失敗率0.3%)。しかし、ピルは性感染症(クラミジア、淋病、梅毒、HIVなど)を1%も防ぐことはできません。 

相手が特定のパートナーであっても、お互いの感染症検査が済んでいない場合や、より確実な安全を求めるなら、コンドームを併用する「ダブルメソッド」が最も賢明な選択です。

Q. セイヨウオトギリソウ(サプリ)で効果が消えるって本当?

A. はい、本当です。

セント・ジョーンズ・ワートという名称で、リラックス系のサプリやハーブティーに含まれているこの成分は、肝臓の代謝酵素(CYP3A4)を強力に活性化させます。

その結果、ヤーズの有効成分が体内で素早く分解・排出されてしまい、血中濃度が避妊に必要なレベルを下回ってしまいます。

不正出血の原因になるだけでなく、気づかないうちに排卵が起こってしまうリスクがあるため、併用は厳禁です。

Q. 休薬期間(4日間の偽薬)も避妊効果は続いている?

A. はい、維持されています。

ヤーズのシートの最後にある4錠の白い粒(偽薬)を飲んでいる期間は、ホルモンを摂取していませんが、それまでの24日間で排卵が完全に抑え込まれていれば、その4日間で卵子が育って排卵することはありません。

ただし、新しいシートの飲み始めを1日でも遅らせてしまうと、休薬期間が5日、6日と延びることになり、急激に排卵のリスクが高まります。スケジュール管理こそが避妊の鍵です。

Q. ヤーズとヤーズフレックス、避妊効果に差はある?

A. 避妊効果において差はありません。

ヤーズは28日周期、ヤーズフレックスは最長120日間の連続投与が可能ですが、どちらも同じ成分(DRSP/EE)を含んでいます。

ヤーズフレックスの臨床試験でも、連続投与による避妊効果の減弱は認められておらず、どちらも高い確実性を誇ります。違いは「生理(消退出血)の回数を減らせるかどうか」という点にあります。

まとめ:ヤーズの特性を理解して、正しく賢く服用しよう

ヤーズ配合錠は、辛い生理痛を和らげ、月経困難症という病気から女性を解放してくれる優れた治療薬です。

そして同時に、医学的な観点からは、服用者のライフプランを守る極めて確実性の高い避妊手段でもあります。

医師が「避妊用ではない」と言う背景には、日本の保険制度上のルールがありますが、その言葉によってあなたが得ている「実質的な避妊効果」を疑う必要はありません。

大切なのは、以下の3点を徹底することです。

  1. 毎日、決まった時間に飲み続けること(アラーム等の活用)。
  2. 血栓症のサイン(ACHES)を正しく理解し、異変があればすぐ受診すること
  3. 飲み合わせや飲み忘れのリスクを把握し、不安な時は迷わず医師に相談すること

ヤーズを正しく服用することは、自分の体を自分で管理し、QOL(生活の質)を向上させるための素晴らしいアクションです。

この記事で得た知識を土台に、より安心で自由な毎日を過ごせるよう願っています。

▼ヤーズ服用中の安心チェックリスト

項目具体的なアクションチェック
服用管理毎日同じ時間に飲むためのスマホアラームを設定した
リスク管理血栓症のサイン「ACHES」を家族にも共有している
習慣水分補給を意識し、1時間に1回は足を動かしている
環境診察時に喫煙習慣や併用薬を正確に医師へ伝えた
緊急対応飲み忘れた際の対処法(この記事のフロー)をブックマークした

参考文献・リンク

この記事の監修者

  • 平成16年
    愛知医科大学医学部卒業、愛知医科大学病院 卒後臨床研修医
  • 平成18年
    愛知医科大学病院 小児科入局
  • 平成23年
    愛知医科大学小児科 助教
  • 平成25年
    医療法人和幸会 阪奈中央病院勤務(小児科)
  • 平成29年
    たけつな小児科クリニック開院
  • 日本小児科学会(専門医/指導医)
  • 日本外来小児科学会
  • 日本小児科医会(地域総合小児医療認定医)
  • 日本小児神経学会
  • 日本頭痛学会

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