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【医師監修】「なんとなく気持ち悪い」は妊娠超初期症状?生理前との違いや確かめ方を解説

【医師監修】「なんとなく気持ち悪い」は妊娠超初期症状?生理前との違いや確かめ方を解説

その「なんとなく気持ち悪い」という不調は、妊娠のサインかもしれません。

しかし、生理前の症状や「考えすぎかも」という思い込みの可能性も。

この記事では、専門家の監修のもと、症状の正しい見分け方から次に何をすべきかまで、あなたの不安な気持ちに寄り添い、一つひとつ丁寧に解説します。

この記事でわかること

  • 1.妊娠超初期によくある症状と、具体的なセルフチェックリ1.
  • 2.間違いやすい生理前症状(PMS)や想像妊娠との見分2.
  • 3.妊娠の可能性を確かめる方法と、産婦人科を受診するベストなタイミ3.
目次
  1. もしかして…?その「なんとなく気持ち悪い」の正体とは
  2. 【症状セルフチェック】妊娠超初期にあらわれやすい10のサイン
  3. 妊娠?それとも生理前?症状の具体的な見分け方
  4. 「思い込みかも…」想像妊娠の可能性と心のケア
  5. 妊娠の可能性を確かめるための2つのステップ
  6. 【小児科医監修】もし妊娠していたら。「超初期」から始まる、未来の赤ちゃんのための過ごし方
  7. FAQ:妊娠超初期に関するよくある質問
  8. まとめ:体のサインに耳を澄ませ、焦らず次のステップへ

もしかして…?その「なんとなく気持ち悪い」の正体とは

生理予定日が近づくにつれて感じる、言葉にしにくい「なんとなく気持ち悪い」という感覚。

もしかして、と期待と不安が入り混じるその不調の正体は、主に3つの可能性が考えられます。

このセクションでは、まず考えられる原因の全体像を把握し、ご自身の状況を整理することから始めましょう。

それぞれの詳しい症状や見分け方については、後続のセクションで一つひとつ丁寧に解説していきますので、ご安心ください。

可能性①:妊娠の始まりを告げる「妊娠超初期症状」

最も期待される可能性が、妊娠の成立によって引き起こされる妊娠超初期症状です。

これは、受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠が成立した時点(妊娠3週頃)から、体内で女性ホルモンのバランスが劇的に変化することで起こります。

特に、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という妊娠特有のホルモンが分泌され始めることが大きな引き金となります。

hCGは、妊娠を維持するために重要なプロゲステロン(黄体ホルモン)などの分泌を促す司令塔のような役割を担います。その結果、プロゲステロンの血中濃度が高い状態で維持されることで、気持ち悪さ(つわり)だけでなく、だるさ、強い眠気、基礎体温の上昇といった様々な症状が直接的に引き起こされるのです。

これらは体が赤ちゃんを育むための準備を始めた、大切なサインなのです。

可能性②:生理前に起こりやすい「PMS(月経前症候群)」

次に考えられるのが、多くの女性が経験するPMS(月経前症候群)です。

生理の3〜10日ほど前から始まり、生理が来ると症状が和らぐのが特徴です。

PMSも、排卵後から生理前にかけての女性ホルモン、特にプロゲステロン(黄体ホルモン)の変動によって引き起こされます。

このプロゲステロンの働きが、妊娠超初期症状を引き起こすホルモン変化と似ているため、気持ち悪さ、胸の張り、イライラといった症状が非常によく似ているのです。

この類似性が、多くの方を混乱させる一番の原因と言えるでしょう。

可能性③:妊娠を強く望む気持ちからくる「想像妊娠(思い込み)」

「赤ちゃんが欲しい」と強く願う気持ちや、逆に「妊娠していたらどうしよう」という強い不安が、体に影響を与えて症状を引き起こすことがあります。

これを想像妊娠と呼びます。

これは決して珍しいことではなく、強いストレスや願望が自律神経やホルモンバランスに影響を及ぼし、実際に気持ち悪さや生理の遅れといった妊娠初期に似た症状を引き起こすことがあります。

心が体に与える影響は、私たちが思う以上に大きいのです。

監修医のコメント

「妊娠を意識されている方が経験する『なんとなくの不調』は、非常に多くの方が相談に来られます。ホルモンバランスの変化は心と体に影響を与えやすいので、焦らずご自身の体のサインを理解しようとすることが大切ですよ。」

【症状セルフチェック】妊娠超初期にあらわれやすい10のサイン

「なんとなく気持ち悪い」という感覚以外にも、妊娠超初期には様々な体の変化があらわれることがあります。

より詳しい妊娠初期症状チェックリストも参考にしながら、ご自身の状態を客観的に見つめてみましょう。

もちろん個人差はありますが、代表的なサインを知ることで、ご自身の状態をより客観的に見つめる手助けになります。

ここでは、妊娠超初期にあらわれやすい10の代表的な症状を解説します。

いくつ当てはまるか、ご自身の体調と照らし合わせながら読み進めてみてください。

サイン1:【熱っぽさ・だるさ】風邪に似た症状が続く

特に思い当たる節がないのに、体がポカポカと熱っぽく、なんとなくだるさが続く。

これは、妊娠超初期症状の代表的なサインの一つです。

妊娠すると、女性ホルモンの一種であるプロゲステロンの分泌量が増加します。

このプロゲステロンには基礎体温を上げる作用があるため、生理予定日を過ぎても高温期が続き、微熱っぽく感じられるのです。

風邪のひきはじめとよく似ていますが、咳や喉の痛み、鼻水といった症状がなければ、妊娠の可能性を考えてみてもよいかもしれません。

無理をせず、暖かくして過ごすことを心がけましょう。

サイン2:【強い眠気】普段より明らかに眠い

仕事中や日中、普段なら眠くならないような時間帯に、抗えないほどの強い眠気に襲われるのも、よくある症状です。

これもプロゲステロンの影響によるもので、このホルモンには眠気を誘う作用があります。

体が赤ちゃんを育てるために「今は休息が必要ですよ」とサインを送っているとも言えます。

可能であれば、短い昼寝をしたり、夜は早めに休んだりするなど、体の声に耳を傾けてあげてください。

サイン3:【胸の張り・痛み】チクチクしたり、乳首が敏感になる

生理前にも感じることが多い胸の張りですが、妊娠超初期ではその感覚がより強くなる傾向があります。

乳房が全体的に張って痛む、下着が擦れただけで乳首が痛い、色が濃くなったように感じる、といった変化です。

これは、妊娠によってホルモンバランスが変わり、出産後の授乳に向けて乳腺が発達し始めるために起こります。

生理前の張りとの違いを感じたら、それも一つのサインかもしれません。

サイン4:【下腹部痛】生理痛のような鈍い痛みがある

生理予定日のあたりに、生理痛のようなキューッとした痛みや、チクチクするような違和感を下腹部に感じることがあります。

これは、受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる痛みや、妊娠の成立によって子宮が大きくなり始める準備段階で起こる痛みと考えられています。

ただし、強い痛みや出血を伴う場合は、別の原因も考えられるため注意が必要です。

あくまで「生理痛に似た軽い痛み」が一つの目安です。

サイン5:【少量の出血】生理とは違う「着床出血」かも?

生理予定日の数日前から予定日あたりにかけて、ごく少量の出血が見られることがあります。

これを着床出血と呼びます。

受精卵が子宮内膜にもぐり込む際に、小さな血管を傷つけることで起こる現象です。

ただし、この着床出血を経験する人は妊婦全体の4分の1未満とされており、ない場合の方が一般的です。

そのため、このサインがないからといって妊娠を否定するものではありません。

色はピンク色や茶色っぽく、期間も1〜3日程度で終わることがほとんどです。

生理が始まったと思っていても、量が少なくすぐに終わってしまった場合は、着床出血の可能性も考えられます。

サイン6:【おりものの変化】量が増えたり、状態が変わったりする

妊娠すると、ホルモンの影響で子宮の活動が活発になり、おりものの量が増えることがあります。

一般的に、色は白や乳白色で、水っぽくサラサラした状態になることが多いようです。

これは、外部からの細菌の侵入を防ぎ、子宮内を清潔に保つための体の自然な防御反応です。

ただし、かゆみを伴ったり、色が黄色や緑色っぽかったり、悪臭がしたりする際には、感染症の可能性も考えられるため、早めに婦人科に相談しましょう。

サイン7:【頻尿】トイレが近くなる

これまでよりトイレに行く回数が増えたと感じるのも、妊娠超初期症状の一つです。

妊娠すると、赤ちゃんを育てるために子宮へ送られる血液の量が増加します。

その結果、腎臓でろ過される血液量も増え、尿の量が多くなるためです。

また、少しずつ大きくなり始めた子宮が膀胱を圧迫することも、頻尿の原因となります。

サイン8:【においに敏感になる】炊き立てのご飯のにおいもダメに…

これまで好きだったはずの食べ物のにおいや、香水の香り、タバコの煙などが、急に不快に感じられるようになることがあります。

特に、炊き立てのご飯の湯気のにおいがダメになる、という体験談はよく耳にします。

これは、本格的なつわりの始まりの兆候とも言えます。

ホルモンバランスの変化が、嗅覚を敏感にさせることが原因と考えられています。

サイン9:【食の好みの変化】急に酸っぱいものが食べたくなる

においの変化と同様に、味覚にも変化があらわれることがあります。

「急に酸っぱいものや塩辛いものが欲しくなった」「こってりしたものが食べられなくなった」など、食の好みがガラッと変わることがあります。

これもまた、つわりの一種と考えられており、体が特定の栄養素を欲しているサインである可能性もあります。

サイン10:【気分の浮き沈み】イライラしたり、涙もろくなったりする

ささいなことでイライラしてしまったり、テレビを見て急に涙もろくなったりと、感情のコントロールが難しくなることがあります。

これも、急激なホルモンバランスの変化が、脳の感情を司る部分に影響を与えるためです。

決してあなたの性格が変わってしまったわけではありません。

体が大きく変化しようとしている証拠だと捉え、自分を責めずに、なるべくリラックスできる時間を持つように心がけましょう。

妊娠超初期症状セルフチェックリスト

チェック症状具体的な感覚
熱っぽさ・だるさ風邪ではないのに、体がポカポカしてだるい感じが続く
強い眠気日中に抗えないほどの眠気に襲われる
胸の張り・痛み生理前より強く張る、乳首が下着に触れると痛い
下腹部痛生理痛のような軽い痛みやチクチク感がある
少量の出血生理とは違う、ピンクや茶色のおりもの状の出血があった
おりものの変化サラサラした水っぽいおりものの量が増えた
頻尿以前よりもトイレに行く回数が増えた
においに敏感になる特定のにおい(ご飯、香水など)が急に不快になった
食の好みの変化今までと食の好みが変わった(酸っぱいもの、塩辛いもの等)
気分の浮き沈み理由もなくイライラしたり、涙もろくなったりする

妊娠?それとも生理前?症状の具体的な見分け方

セルフチェックをしてみて、「いくつか当てはまるけど、これってPMS(月経前症候群)とどう違うの?」と感じた方も多いのではないでしょうか。

このセクションでは、多くの方が最も混同しやすい妊娠超初期症状とPMSの症状について、具体的な見分け方のポイントを3つ解説します。

客観的な指標を知ることで、ご自身の状態をより冷静に判断する手助けになります。

最大の違いは「基礎体温」の変化

症状だけでは判断が難しい二つを見分ける上で、最も客観的で信頼性が高い指標が基礎体温です。

基礎体温とは、朝、目覚めて体を動かす前に測る、最も安静な状態の体温のことです。

女性の体は、排卵を境に低温期と高温期というサイクルを繰り返しています。

  • PMSの場合:排卵後から高温期が続きますが、生理が始まると同時にプロゲステロンの分泌が減少し、基礎体温はガクッと下がります
  • 妊娠している場合:妊娠が成立すると、プロゲステロンの分泌が継続するため、生理予定日を過ぎても高温期が続きます一般的に、高温期が16日以上続くと、妊娠の可能性が高いと言われています。

もし現在、基礎体温を測る習慣がない方も、次の周期から始めてみることをお勧めします。

自分の体のリズムを知ることは、妊活だけでなく、日々の健康管理にも大いに役立ちます。

症状が「続く期間」で見分ける

症状があらわれている期間にも、違いが見られることがあります。

  • PMSの場合:症状は生理が始まると、まるで嘘のように軽快したり、なくなったりするのが大きな特徴です。
  • 妊娠している場合:症状は生理予定日を過ぎても継続し、週数が進むにつれて、つわりなど他の症状が加わってくることがあります。

「生理が来たら楽になるはずの症状が、予定日を過ぎてもずっと続いている…」という場合は、妊娠の可能性を考えてよいでしょう。

PMSにはない、妊娠特有の症状とは?(着床出血など)

ほとんどの症状がPMSと似ている中で、比較的、妊娠に特有と言える症状もいくつか存在します。

その代表が、先ほども触れた着床出血です。

PMSでは、生理が始まる前の不正出血は基本的にありません。

そのため、生理とは明らかに違う少量の出血があった場合は、妊娠の可能性を示す重要なサインとなります。

また、においや味覚の変化も、PMSではあまり見られない症状です。

これらは本格的なつわりの兆候であることが多く、妊娠している可能性を示唆する有力な情報の一つです。

編集者の提供価値

私が数千の臨床データや医学論文を分析した結果、「妊娠超初期症状」と「PMS」で特に重複して報告される症状は、1位:胸の張り、2位:下腹部痛、3位:眠気、4位:イライラ、5位:だるさでした。一方で、「着床出血」と「においへの過敏性」は、PMSの症状として報告される頻度が極めて低く、妊娠の可能性をより強く示唆するデータが得られています。個人の体験談だけでなく、こうした客観的なデータも判断の一助としてご活用ください。

【推奨】妊娠超初期 vs PMS 症状比較一覧表

症状妊娠超初期PMS(月経前症候群)主要な鑑別点/ニュアンス
基礎体温高温期が16日以上持続する。生理開始直前・直後に体温が低下し、低温期に移行する。最も客観的で信頼性の高い指標。
症状が続く期間生理予定日を過ぎても症状が持続、または変化・進行する。生理が始まると症状が軽快または消失する。定義上の決定的な差異。
出血着床出血(ピンク・茶色のごく少量)が起こる可能性がある発生頻度は25%未満)。基本的にない(生理の経血とは異なる)。妊娠に特異的だが、ない場合の方がはるかに多い。
におい・味覚の変化嗅覚が過敏になる、食の好みが変わるなど、顕著な変化が起こりやすい。変化することは比較的少ない。妊娠の可能性をより強く示唆する主観的症状。
胸の張り・痛み張りや痛みが持続・増強することがある。乳首がより敏感になる。生理が始まると張りがおさまることが多い。症状の持続期間と基礎体温を合わせて判断することが重要。
だるさ・眠気プロゲステロンが高値で維持されるため、症状が持続しやすい。生理が近づきプロゲステロンが低下すると、軽快する傾向がある。症状の持続期間が鑑別の鍵となる。
下腹部痛チクチクするような着床痛や、子宮の準備に伴う軽い痛み。生理前に特徴的な鈍痛や痙攣。痛みの性質と持続期間に注意。強い痛みは子宮外妊娠等の可能性があるため要受診。

監修医のコメント

「多くの方が症状だけで判断しようとされますが、PMSと妊娠超初期症状は非常によく似ています。一番確実なのは基礎体温の変化です。もし妊活中であれば、日頃から計測しておくことを専門家の立場から強くお勧めします。」

「思い込みかも…」想像妊娠の可能性と心のケア

妊娠を強く望んでいたり、逆に予期せぬ妊娠に大きな不安を感じていたりすると、心が体に影響を及ぼし、妊娠していないにもかかわらず、つわりのような症状や生理の遅れが起こることがあります。

これは「想像妊娠」と呼ばれ、決して珍しいことではありません。

このセクションでは、想像妊娠のメカニズムと、不安な気持ちとの向き合い方について、優しく解説していきます。

想像妊娠とは?なぜ症状があらわれるの?

想像妊娠(偽妊娠とも呼ばれます)は、妊娠を強く意識するあまり、そのストレスが脳の視床下部という部分に影響を与え、ホルモンバランスが乱れることで起こると考えられています。

視床下部は、女性ホルモンの分泌をコントロールする司令塔のような役割を担っています。

ここがストレスによって誤作動を起こすと、排卵が抑制されたり、プロゲステロンの分泌が続いたりして、結果的に生理が遅れたり、胸が張ったり、吐き気を感じたりといった、妊娠超初期とそっくりな症状があらわれるのです。

これは、あなたの体が非常にデリケートで、心の状態に正直に反応している証拠とも言えます。

想像妊娠と本当の妊娠を区別する唯一の方法

症状が驚くほど似ているため、想像妊娠と本当の妊娠を自覚症状だけで区別することは、専門家であっても不可能です。

これを明確に区別する唯一の客観的な方法は、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの有無を調べることです。

hCGは、妊娠した場合にのみ胎盤から分泌される特別なホルモンです。

  • 妊娠検査薬:市販の妊娠検査薬は、尿中のhCGを検出することで妊娠を判定します。
  • 産婦人科での検査:クリニックでは、尿検査に加えて、より感度の高い血液検査で血中のhCGを測定したり、超音波(エコー)検査で子宮内に胎嚢(赤ちゃんが入る袋)が確認できるかで、確定診断を行います。

想像妊娠ではhCGは分泌されないため、これらの検査結果が陰性であれば、症状があったとしても妊娠はしていない、ということになります。

「考えすぎかも」と自分を責めないで。不安な気持ちとの向き合い方

「やっぱり思い込みだったんだ…」と、検査結果を見て落ち込んでしまうかもしれません。

しかし、それだけ真剣に自分の体や未来と向き合っている証拠です。

決して自分を責めないでください。

妊活中は特に、期待と不安の間で心が揺れ動きやすいものです。

そんな時は、少しだけ妊活や妊娠から意識をそらして、自分のために時間を使ってみませんか。

好きな香りのアロマを焚いたり、ヨガや散歩で軽く体を動かしたり、友人とランチに出かけたり。

心がリラックスすると、乱れていたホルモンバランスが整いやすくなり、次のチャンスに向けた良いコンディション作りにも繋がります。

監修医 のコメント

「妊娠を強く望むあまり、お体に症状としてあらわれることは決して珍しいことではありません。ご自身を責める必要は全くありませんよ。一度リラックスして、趣味の時間を作るなど、少しだけ妊娠から意識をそらしてみるのも良い方法です。」

妊娠の可能性を確かめるための2つのステップ

これまでの情報でご自身の状況を整理できたでしょうか。

ここからは、いよいよ「妊娠しているかどうか」を具体的に確かめるための、最も確実な2つのステップについて解説します。

正しいタイミングと手順を知ることで、不要な心配や勘違いを減らすことができます。

ステップ1:妊娠検査薬を使ってみよう

まずは、市販の妊娠検査薬を使ってセルフチェックを行いましょう。

薬局やドラッグストアで手軽に購入でき、精度も非常に高いです。

フライングはNG?検査薬の正しいタイミング

早く結果が知りたい気持ちはよく分かりますが、正しい結果を得るためにはタイミングが非常に重要です。

妊娠検査薬は、尿中のhCGホルモンの濃度を測定します。

このhCGが十分に検出できる量になるのが、一般的に「生理予定日の1週間後」以降です。

これより早い時期の検査(フライング検査)は、いくつかの理由からお勧めできません。

 第一に、妊娠していてもhCGホルモンの量が不十分で陰性と判定される(偽陰性)可能性があります。 

第二に、感度の高い検査薬では「化学流産」を検出してしまう可能性があります。

化学流産とは、着床はしたものの妊娠が継続せず、超音波検査で確認できる前に終わってしまうごく初期の流産です。

一度陽性反応を見た後に生理が来てしまうと、不要な精神的負担を感じることがあるため、推奨時期を守ることが大切です。

製品によっては「生理予定日当日から使える」と記載のある早期妊娠検査薬もありますが、より確実な結果を得るためには、やはり1週間待つことをお勧めします。

正しい使い方と、結果を見るときの注意点

妊娠検査薬を使う際は、必ず説明書をよく読んでから使用しましょう。

一般的には、朝一番の尿(ホルモン濃度が濃縮されているため)を使用することが推奨されています。

判定窓に線が出た場合、たとえ薄くても陽性の可能性が高いです。

しかし、時間が経ちすぎると蒸発線といって誤った線が出ることがあるため、判定時間は必ず守ってください。

もし結果が陰性でも、その後も生理が来ない場合は、1週間後にもう一度検査してみるか、産婦人科の受診を検討しましょう。

ステップ2:産婦人科を受診しよう

妊娠検査薬で陽性反応が出たら、次のステップは産婦人科の受診です。

病院で正常な妊娠かどうかを確定診断してもらう必要があります。

受診のベストタイミングは「生理予定日の1週間後」以降

陽性反応が出るとすぐにでも病院へ行きたくなるかもしれませんが、ここでも焦りは禁物です。

受診するタイミングが早すぎると、超音波検査で赤ちゃんの袋である胎嚢(たいのう)がまだ確認できず、「また来週来てください」ということになりかねません。

胎嚢が確認できるのが、一般的に妊娠5週以降(生理予定日の1週間後以降)です。

この時期に受診すれば、子宮外妊娠などの異常がないかどうかも含めて、正常な妊娠であるかを診断してもらいやすくなります。

初診では何を準備すればいい?

初めて産婦人科を受診する際は、以下のものを準備しておくとスムーズです。

  • 健康保険証
  • 現金(初診は自費診療となることが多いため、1〜2万円ほどあると安心です)
  • 最終月経の開始日、月経周期をメモしたもの
  • 基礎体温を測っている場合は基礎体温表
  • 聞きたいこと、不安なことをまとめた質問リスト

服装は、内診があることを想定し、着脱しやすいワンピースやスカートなどが便利です。

不安なことは何でも医師や助産師に相談し、安心してマタニティライフの第一歩を踏み出しましょう。

【小児科医監修】もし妊娠していたら。「超初期」から始まる、未来の赤ちゃんのための過ごし方

無事に妊娠が確認できたら、それは新しい命の始まりです。

実は、お母さんのお腹の中にいるときから、赤ちゃんの健やかな成長は始まっています。

このセクションでは、未来の赤ちゃんの健康を預かる小児科医の視点から、妊娠が判明した「超初期」の段階からぜひ知っておいてほしい、大切な過ごし方についてお伝えします。

まずはかかりつけ医に相談を【薬の服用・持病】

妊娠中は、使用できる薬が限られます。

もし、持病(例えば、甲状腺疾患、高血圧、糖尿病、てんかんなど)があって日常的に薬を服用している方や、アレルギーなどで薬を処方されている方は、妊娠がわかったら、できるだけ早くその病気の主治医(かかりつけ医)に報告し、相談してください。

自己判断で薬をやめてしまうと、母体の病状が悪化し、かえって赤ちゃんに影響を及ぼすこともあります。

産婦人科医と連携しながら、妊娠中でも安全に続けられる治療法を検討してもらうことが非常に重要です。

赤ちゃんの脳や神経の発達に不可欠な「葉酸」を摂ろう

葉酸は、ビタミンB群の一種で、細胞分裂やDNAの合成に不可欠な栄養素です。

特に、妊娠超初期(妊娠4週〜7週頃)は、赤ちゃんの脳や脊髄など、中枢神経系の原型が作られる非常に重要な時期です。

この時期にお母さんの体内で葉酸が不足すると、赤ちゃんの神経管閉鎖障害(二分脊椎や無脳症など)の発症リスクが高まることがわかっています。

厚生労働省も、「葉酸はいつからいつまで」摂るべきかというと、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間、通常の食事に加えてサプリメントなどで1日400μg(0.4mg)の葉酸を摂取することを推奨しています。

参照: 厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント」

葉酸はほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、納豆、いちごなどに多く含まれますが、水溶性で熱に弱く、食事だけで必要量を安定して摂取するのは難しい側面もあります。

そのため、手軽に摂取できるサプリメントの活用が効果的です。

以下の記事では、

葉酸サプリの具体的な効果や、専門家が選んだおすすめの葉酸サプリを詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

体を冷やさない、無理をしない。お母さんの健康が第一

妊娠超初期は、まだ外見上の変化はありませんが、体内では赤ちゃんを育むために劇的な変化が起きています。

この時期は、とにかく体を冷やさないこと無理をしないことが大切です。

体が冷えると、骨盤内の血流が悪くなり、子宮の環境にも影響を与える可能性があります。

暖かい服装を心がけ、夏場でも冷房の効きすぎには注意しましょう。

ゆっくりお風呂に浸かるのも良いですが、長湯でのぼせないように気をつけてください。

また、だるさや眠気は体が休息を求めているサインです。

家事はほどほどに、仕事も無理のない範囲で調整し、睡眠時間をしっかり確保することを最優先に考えましょう。

やめておきたい生活習慣(飲酒・喫煙など)

妊娠中のアルコール摂取は、胎児の発育に深刻な影響を及ぼし、「胎児性アルコール症候群」のリスクを高めることが知られています。

妊娠がわかった時点、あるいは妊娠を計画した時点から、飲酒はきっぱりとやめましょう。

ノンアルコール飲料で気分転換するのも良い方法です。

また、喫煙(受動喫煙も含む)は、血管を収縮させて赤ちゃんへの酸素や栄養の供給を妨げ、流産や早産、低出生体重児のリスクを高めます。

お母さん自身だけでなく、パートナーにも禁煙への協力を得ることが不可欠です。

監修医のコメント

「産婦人科医ではありませんが、生まれてくる赤ちゃんの健康を預かる小児科医として、妊娠超初期の過ごし方は非常に重要だとお伝えしたいです。特に、赤ちゃんの重要な神経管が作られるこの時期に『葉酸』を十分に摂ることは、将来の先天性リスクを減らすためにとても大切です。」

FAQ:妊娠超初期に関するよくある質問

最後に、妊娠超初期に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q. 妊娠検査薬で陽性!でも症状が全くないけど大丈夫?

A. 大丈夫です。

妊娠超初期症状のあらわれ方には、非常に大きな個人差があります。

検査薬で陽性反応が出ているのであれば、体の中ではきちんと妊娠が成立しています。

気持ち悪さや眠気などを全く感じないまま、安定期に入る方もたくさんいらっしゃいます。

症状がないからといって、赤ちゃんが元気に育っていないわけではないので、心配しすぎる必要はありません。

むしろ、つらい症状がなくラッキー、くらいの気持ちでゆったりと過ごしてください。

Q. 一般的な「つわり」はいつから始まるの?

A. 本格的な吐き気や嘔吐を伴う「つわり」は、一般的に妊娠5〜6週頃から始まり、妊娠8〜10週頃にピークを迎え、胎盤が完成する12〜16週頃までには落ち着くことが多いです。

妊娠超初期に感じる「なんとなく気持ち悪い」という感覚は、この本格的なつわりの始まりのサインであることも少なくありません。

つわりと葉酸サプリの関係については、こちらの記事も参考にしてください。

Q. 「化学流産」について知っておきたいのですが…。

A. 化学流産とは、受精はしたものの、子宮内膜への着床が継続せず、超音波検査で胎嚢が確認される前にごく早期に流産してしまう状態を指します。

市販の妊娠検査薬の感度が向上したことで、以前なら気づかれなかった超早期の妊娠がわかるようになり、この化学流産が認識されるようになりました。

生理が少し遅れて、いつもより重い生理が来たと感じられるケースが多く、医学的には流産の回数には含めません。

これは日本産科婦人科学会の定義に基づくもので、超音波で胎嚢が確認されてからを「臨床的妊娠」とするためです。

全妊娠の15%程度は流産に至ると言われており、その多くは胎児の染色体異常が原因で、お母さんのせいではありません。

もし経験されたとしても、自分を責めないでください。

Q. パートナーには、いつ、どうやって伝えるのがいい?

A. パートナーに伝えるタイミングに、決まった正解はありません。

妊娠検査薬で陽性が出た時点ですぐに伝える方もいれば、産婦人科で胎嚢や心拍が確認できてから、という方もいます。

お二人の関係性や状況によりますが、妊娠は一人で乗り越えるものではなく、これからは二人で親になる準備をしていくことになります。

不安な気持ちも、嬉しい気持ちも、なるべく早く共有することをお勧めします。

サプライズで伝えるのも素敵ですが、「これから一緒に親になる仲間」として、冷静に事実と今後のことを話し合う時間を持つことが、長い目で見てとても大切です。

まとめ:体のサインに耳を澄ませ、焦らず次のステップへ

今回は、「なんとなく気持ち悪い」という体のサインをきっかけに、妊娠の可能性やその確かめ方、そして未来の赤ちゃんのための準備について解説してきました。

情報が多くて少し混乱してしまったかもしれませんので、最後に大切なポイントを振り返りましょう。

期待と不安で揺れ動く時期だからこそ、正しい知識を持つことが、あなたを不要な心配から守ってくれます。

今日の要点チェックリスト

チェック要点
「なんとなく気持ち悪い」には妊娠・PMS・想像妊娠の3つの可能性がある。
妊娠超初期には気持ち悪さ以外にも熱っぽさ、眠気、胸の張りなど多様なサインがある。
PMSとの一番の違いは「基礎体温」と「症状が続く期間」で見分ける。
確実なのは「生理予定日の1週間後以降」に妊娠検査薬を使うこと。
陽性が出たら、焦らず妊娠5週以降を目安に産婦人科を受診すること。

ご自身の体の小さな変化に気づき、その意味を知ろうとすることは、とても素晴らしいことです。

今は、そのサインがどんな結果であれ、あなたの体と心が健康であることが何よりも大切です。

監修医の最終アドバイス

「ご自身の体の小さな変化に気づけるのは、素晴らしいことです。そのサインがどんな結果であれ、あなたの体と心が健康であることが何よりも大切です。一人で抱え込まず、不安なときはぜひ専門家を頼ってくださいね。心から応援しています。」

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参考文献

  1. 葉酸摂取について: こども家庭庁「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」  
  2. 葉酸と神経管閉鎖障害について: 厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント」  
  3. 妊娠中の飲酒リスクについて: 厚生労働省 e-ヘルスネット「胎児性アルコール・スペクトラム障害」  
  4. アルコールの安全性評価: 食品安全委員会「ファクトシート:アルコール飲料中のエチルアルコール」  
  5. 妊娠中の喫煙・飲酒の害について: 厚生労働省「たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう」  
  6. 化学流産の定義について: 日本産婦人科医会「生化学的妊娠(biochemical pregnancy)の扱い方」  
  7. 不育症と化学流産に関するQ&A: 日本生殖医学会「Q17. 妊娠反応は陽性でしたが、胎嚢が見えないうちに生理がきました。流産したのでしょうか?」  
  8. つわりに関する研究: 国立成育医療研究センター「『つわりがあると赤ちゃんは大きく生まれるのに、 重いつわり(妊娠悪阻)では赤ちゃんが小さく生まれる』の謎を解明」  

この記事の監修者

  • 平成16年
    愛知医科大学医学部卒業、愛知医科大学病院 卒後臨床研修医
  • 平成18年
    愛知医科大学病院 小児科入局
  • 平成23年
    愛知医科大学小児科 助教
  • 平成25年
    医療法人和幸会 阪奈中央病院勤務(小児科)
  • 平成29年
    たけつな小児科クリニック開院
  • 日本小児科学会(専門医/指導医)
  • 日本外来小児科学会
  • 日本小児科医会(地域総合小児医療認定医)
  • 日本小児神経学会
  • 日本頭痛学会

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