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100均の葉酸サプリは妊活・妊娠中に飲んでいい?ダイソー等の商品を徹底解説!

100均の葉酸サプリは妊活・妊娠中に飲んでいい?ダイソー等の商品を徹底解説!

「そろそろ赤ちゃんが欲しいな」と考え始めたとき、多くの人が「葉酸サプリ」の存在を知ります。そんな中、ダイソーなどの100円ショップで葉酸サプリを見つけ、「こんなに安く手に入るの?でも、大切な時期に飲むものだから、本当に大丈夫…?」と、期待と不安が入り混じった気持ちになるのは、あなただけではありません。

この記事では、そんなあなたの疑問に一つひとつ丁寧にお答えします。この記事を読み終える頃には、100円ショップのサプリメントについての正しい知識が身につき、自分と未来の赤ちゃんのために、自信を持って最適な葉酸サプリを選ぶ第一歩を踏み出せるようになっているでしょう。

この記事を読み終える頃には、100均サプリについての正しい知識が身につき、自分と未来の赤ちゃんのために、自信を持って最適な葉酸サプリを選ぶ第一歩を踏み出せるようになっているでしょう。

【結論】100均の葉酸サプリは、妊活・妊娠中の摂取にはおすすめできません

さっそく結論からお伝えすると、妊活や妊娠中の方が、厚生労働省の推奨する葉酸を摂取する目的で、100均のサプリを選ぶことはおすすめできません。

これは、100均のサプリが「危険」だという意味では決してありません。健康な方が美容や日々の栄養補助として利用する分には選択肢の一つですが、未来の赤ちゃんのために葉酸を摂取するという「特別な目的」には合っていないのです。

なぜ、目的が違うと言えるのか。その明確な理由を、ここから詳しく見ていきましょう。

なぜ?妊活・妊娠中に100均サプリが推奨されない「3つの理由」

専門家の視点から見て、妊活・妊娠中に100均の葉酸サプリが推奨されない理由は、主に3つあります。それは「葉酸の種類」「含有量」そして「添加物」の問題です。

理由1:葉酸の種類が違う!吸収率の高い「モノグルタミン酸型」ではない場合があるから

最も大きな理由は、サプリに含まれる葉酸の種類が、国が推奨しているものと違うからです。実は、葉酸には2つの種類があり、それぞれ体内での吸収率が大きく異なります。

特徴ポリグルタミン酸型葉酸モノグルタミン酸型葉酸
別名食事性葉酸合成葉酸
多く含まれるものほうれん草、ブロッコリーなど野菜や豆類サプリメント、強化食品
体内での吸収率約50%約85%
厚労省の推奨通常時の食事から摂取妊活・妊娠中に付加的な摂取を推奨

100均で販売されているサプリの多くは、野菜などに含まれるのと同じ「ポリグルタミン酸型」※のものが多く、これは体内で利用されるまでに時間がかかり、吸収率も約50%と高くありません。
※商品によってはモノグルタミン酸型葉酸の場合もあります。

一方で、厚生労働省は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすため、吸収率が約85%と高い「モノグルタミン酸型」の葉酸を、サプリメントなどから付加的に摂取することを強く推奨しています。

この「種類が違う」という点が、目的とのミスマッチを生む最大の要因なのです。

理由2:葉酸の含有量が足りない可能性があるから

次に、必要な葉酸の量という観点です。厚生労働省は、妊活・妊娠初期の女性に対して、通常の食事から摂るべき240μgの葉酸に加えて、サプリメントから1日に400μgの「モノグルタミン酸型葉酸」を摂取することを推奨しています。

しかし、100均で販売されているサプリの成分表示を見ると、葉酸の含有量が200μgや400μg※と記載されていても、それが吸収率の低い「ポリグルタミン酸型」であったり、そもそも推奨量に満たなかったりするケースが見られます。これでは、大切な時期に必要な量を安定して確保することが難しいのです。
※商品によっては推奨量を満たしている場合もあります。

理由3:添加物が含まれている場合があるから

最後に、添加物についてです。サプリメントを錠剤の形に固めるためには、ある程度の添加物が必要です。100均のサプリに含まれる添加物が直ちに体に害を及ぼすわけではありませんが、妊娠中は体がデリケートになる時期。できるだけ不要な成分は避け、シンプルな処方の製品を選ぶ方がより安心と言えるでしょう。

誤解しないで!100均の葉酸サプリは「危険」というわけではありません

ここまで読むと、「じゃあ100均のサプリは体に悪いの?」と不安に思われたかもしれません。しかし、結論から言うと、100均のサプリ自体が危険なわけではありません。

日本国内で販売されているサプリメントは、食品衛生法という法律のもとで安全性が管理されています。問題なのは、そのサプリの「危険性」ではなく、繰り返しになりますが、妊活・妊娠という「目的とのミスマッチ」なのです。

【小児科医からのアドバイス】

「100均のサプリを過度に怖がる必要はありませんよ。例えば、普段の食事で野菜が不足しがちな方が、ビタミン補給の”お守り”として利用する分には、選択肢の一つです。ただ、未来の赤ちゃんのために確実に栄養を届けたいという『妊活・妊娠期』には、それに特化した設計のサプリを選ぶことが、賢明な判断と言えるでしょう。」

じゃあどうすれば?後悔しない「葉酸サプリの選び方」3つのポイント

「100均サプリがダメな理由は分かった。じゃあ、何を基準に選べばいいの?」というあなたの疑問にお答えします。ここからは、後悔しない葉酸サプリを選ぶための、具体的で簡単な3つのポイントをご紹介します。

ポイント1:【最重要】吸収率の高い「モノグルタミン酸型葉酸」400μg配合のものを選ぶ

最も重要なのは、吸収率の高い「モノグルタミン酸型葉酸」が1日の摂取目安量あたり400μg(マイクログラム)配合されていることです。これは、サプリメントのパッケージ裏にある「栄養成分表示」を見れば確認できます。

このポイントさえ押さえれば、まず大きな失敗はありません。購入前には必ずパッケージの裏側をチェックする習慣をつけましょう。

ポイント2:鉄分やビタミンなど、妊娠中に必要な他の栄養素も配合されているか

次に注目したいのが、葉酸以外の栄養素です。妊娠中は、血液を作る「鉄」や、葉酸の働きを助ける「ビタミンB6」「ビタミンB12」など、多くの栄養素の必要量が増加します。

  • 妊娠中に特に意識したい栄養素リスト
    • 鉄:赤ちゃんの成長と貧血予防に
    • カルシウム:赤ちゃんの骨や歯の形成に
    • ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける
    • ビタミンB群:エネルギー代謝や葉酸の働きをサポート

これらを食事だけで完璧に補うのは大変です。葉酸だけでなく、これらの栄養素もバランス良く配合されたマルチビタミンタイプのサプリを選ぶと、一度で効率的に栄養を補給できるのでおすすめです。

ポイント3:毎日続けられる価格と、信頼できる品質(GMP認定工場など)か

葉酸サプリは、妊娠前から飲み始めるのが理想で、毎日続けることが何よりも大切です。そのため、無理なく続けられる価格帯であることは重要な要素です。目安として、月々1,000円〜4,000円程度の製品が多く選ばれています。

そして、価格と同じくらい大切なのが品質です。安心して飲み続けるために、品質管理の基準をチェックしましょう。その一つの指標が「GMP認定工場」で製造されているかどうかです。

GMPとは、医薬品を製造するレベルの厳しい品質管理基準のこと。このマークがある製品は、原材料の受け入れから製造、出荷まで、全ての過程で安全性が確保されている証であり、信頼性の高い製品を選ぶ上での大きな目安になります。

【目的別】おすすめの葉酸サプリはここで見つかる!

「選び方のポイントは分かったけど、具体的にどこで探せばいいの?」という方のために、サプリの探し方を目的別にご紹介します。

手軽に始めたいなら「ドラッグストア」で探す

まずは近所のドラッグストアを覗いてみるのが良いでしょう。実際に商品を手に取ってパッケージを確認でき、不明な点があれば薬剤師さんに相談できるのが大きなメリットです。ピジョン、和光堂、ネイチャーメイドといった有名ブランドの製品が置いてあることが多いので、まずはこれらの製品から、先ほどお伝えした「選び方の3つのポイント」を満たしているかチェックしてみてください。

じっくり比較して選びたいなら「オンライン通販」で探す

より多くの選択肢から自分に合ったものを選びたいなら、オンライン通販が便利です。ドラッグストアにはない専門メーカーの製品も多く、購入者の口コミを比較検討できるのが利点。公式サイトでは、お得な定期購入コースが用意されていることもあります。

葉酸サプリに関するQ&A!プレママの疑問に答えます

最後に、多くのプレママが抱える葉酸サプリに関する素朴な疑問にお答えします。

Q1. 葉酸サプリはいつからいつまで飲めばいいの?

A. 妊娠を計画した1ヶ月以上前から、妊娠3ヶ月頃までが特に重要です。

赤ちゃんの脳や脊髄の元になる「神経管」は、妊娠のごく初期(妊娠6週末まで)に作られます。この時期に葉酸が満たされていることが重要なので、妊娠が判明してからではなく、妊活を始めたときから飲むのが理想です。また、授乳期まで飲み続けることで、母乳を通じて赤ちゃんに栄養を届けることができます。

Q2. 食事から葉酸をたくさん摂れば、サプリは不要?

A. 食事だけでは必要量を安定して摂るのが難しいため、サプリの併用が推奨されます。

ほうれん草などの野菜に含まれる「ポリグルタミン酸型葉酸」は、熱に弱く、調理で失われやすい性質があります。さらに体内での吸収率も約50%と低いため、食事だけで毎日安定して必要量を摂取するのは非常に困難です。だからこそ、国は吸収率の高い「モノグルタミン酸型葉酸」をサプリで補うことを推奨しているのです。

Q3. つわりでサプリが飲めません。どうしたらいいですか?

A. 無理は禁物です。体調が良い時に飲む、他のタイプを試すなど工夫してみましょう。

つわりが辛い時に無理にサプリを飲む必要はありません。気分が良い時に飲む、1日のうちで分割して飲むなど、試してみてください。最近では、錠剤が苦手な方向けに、小粒タイプやお菓子のように食べられるチュアブルタイプ、ゼリータイプなど様々な製品があります。どうしても難しい場合は、かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。

まとめ:自分と未来の赤ちゃんのために、正しい知識で葉酸サプリを選びましょう

今回は、100均の葉酸サプリと、妊活・妊娠中に本当に選ぶべきサプリについて解説しました。

最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 100均の葉酸サプリは、「危険」ではないが妊活・妊娠目的には推奨されない。
  • 理由は、国が推奨する「葉酸の種類(吸収率)」と「含有量」を満たしていないため。
  • サプリを選ぶ際は、最重要ポイントである「モノグルタミン酸型葉酸400μg」を必ずチェックする。
  • 「GMP認定工場」での製造は、安心して続けられる品質の証。

サプリメント選びは、情報が多くて迷ってしまいますよね。しかし、正しい知識さえあれば、自分に合った最適な製品を見つけることは決して難しくありません。

この記事が、あなたの漠然とした不安を解消し、「これなら安心!」と納得できるサプリと出会うきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。自信を持って、あなたと未来の赤ちゃんのための、大切な第一歩を踏み出してください。

参考文献

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
    • 葉酸の推奨摂取量、耐容上限量、食事性葉酸と狭義の葉酸(モノグルタミン酸型)の区別など、日本における栄養摂取の基本的な指針を示しています。妊活中・妊娠中の付加的な葉酸摂取に関する記述も含まれます。
    • https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf 
  • 厚生労働省「健康食品の正しい利用法」等、健康食品に関する情報ページ
  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会編「産婦人科診療ガイドライン 産科編」
    • 産婦人科領域の診療における標準的な指針を示しており、葉酸摂取の推奨(神経管閉鎖障害の予防など)に関する記述が含まれています。CQ105などで葉酸と神経管閉鎖障害について解説されています。
    • https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00801/
  • 日本先天異常学会「葉酸の日および葉酸摂取による神経管閉鎖障害予防月間」に関する情報
  • 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)「「健康食品」の安全性・有効性情報」
    • 葉酸を含む各種ビタミンやミネラル、健康食品素材に関する科学的根拠に基づいた情報を提供しています。葉酸の吸収率や食事性葉酸当量(DFE)に関する情報も含まれる可能性があります。
    • https://hfnet.nibiohn.go.jp/
  • Linus Pauling Institute (Oregon State University) – Folate (葉酸)
    • 葉酸の化学、機能、欠乏症、疾病予防、摂取源、安全性などに関する包括的な情報を提供しています。特に食事性葉酸当量(DFE)や異なる形態の葉酸の生物学的利用能に関する詳細な解説があります。(英語情報)
    • URL: https://lpi.oregonstate.edu/mic/vitamins/folate

監修者
院長

たけつな  のぶひと

竹綱 庸仁

経歴

平成16年愛知医科大学医学部卒業

愛知医科大学院病院 卒後臨床研修医

平成18年愛知医科大学病院 小児科入局

平成23年愛知医科大学小児科 助教

平成29年たけつな小児科クリニック開院

所属
学会

日本小児科学会(専門医/指導医)

日本外来小児科学会

日本小児科医会(地域総合小児医療認定医)

日本小児神経学会

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