葉酸サプリは厚生労働省も摂取を推奨!推奨内容と製品選びのポイントを解説

「赤ちゃんのために葉酸サプリが良いと聞いたけど、種類が多すぎて何から見ればいいかわからない…」「そもそも、厚生労働省は本当にサプリを推奨しているの?」 妊活中や妊娠初期のあなたは、そんな疑問や不安を抱えているかもしれません。
ただし、特定の商品が推奨されているわけではないため、私たちは公的な情報を正しく理解し、数ある製品の中から自分に合ったものを見極める視点を持つことが大切です。
この記事は、医学的なアドバイスを行うものではありません。あくまで、あなたが葉酸サプリを選ぶ際の参考となる情報を提供することを目的としています。この記事を通じて、以下の点が明らかになるでしょう。
- 厚生労働省が葉酸摂取を推奨している背景
- 公的な資料で示されている摂取量や時期などのポイント
- 製品選びで一般的にチェックすべき比較のポイント
広告や様々な情報に惑わされず、ご自身で納得して製品を選ぶための一助となれば幸いです。
なぜ? 厚生労働省が葉酸サプリの摂取を推奨する背景
厚生労働省が葉酸のサプリメントによる摂取を推奨している背景には、いくつかの理由が挙げられています。特に、赤ちゃんの健やかな成長にとって、食事だけでは補うのが難しい側面があり、サプリメントによる効率的な摂取が注目されています。
赤ちゃんの先天性異常「神経管閉鎖障害」のリスク低減への期待から
葉酸摂取が推奨される最大の背景として、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」という先天性異常の発症リスクを低減する可能性が、数多くの研究で報告されている点が挙げられます。神経管は、赤ちゃんの脳や脊髄(せきずい)になる非常に重要な器官で、妊娠のごく初期(妊娠6週末まで)に形成されます。この大切な時期に母体の葉酸が充足していることが、リスクの低減に繋がると考えられています。
出典情報 厚生労働省のe-ヘルスネットでも、「妊娠初期の葉酸摂取が胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させる」という研究結果が多数報告されていることが紹介されています。
多くの場合、妊娠に気づく頃にはこの重要な器官の形成はすでに終わっているため、妊娠がわかる前から葉酸を充足させておくことの重要性が指摘されています。
食事からだけでは必要な量を安定して摂ることの難しさ
葉酸は、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、レバーなどに多く含まれます。しかし、食品に含まれる葉酸(専門的には「ポリグルタミン酸型葉酸」と呼びます)は、熱や光に弱く、調理過程で量が減ってしまう性質があります。
例えば、妊活・妊娠初期に推奨される葉酸量を食事だけで補おうとすると、大変な量の野菜を食べなくてはならない計算になります。これを毎日欠かさず続けるのは、現実的には難しいと感じる方が多いようです。
吸収面で効率が良いとされる「モノグルタミン酸型」葉酸の存在
サプリメントに含まれる葉酸の多くは、食事性の葉酸とは構造が異なり、「モノグルタミン酸型葉酸」と呼ばれます。このモノグルタミン酸型葉酸の大きな特徴は、体内での吸収率が良いとされている点です。
食事から摂る葉酸の吸収率が約50%なのに対し、サプリから摂るモノグルタミン酸型葉酸の吸収率は約85%というデータがあり、より効率的に体内に取り込めることがわかっています。厚生労働省が「サプリメントからの摂取」に言及しているのは、この吸収率の良さも背景にあると考えられます。
【完全ガイド】厚生労働省の推奨内容に見る5つのポイント
厚生労働省の資料では、「誰が」「いつからいつまで」「何を」「どれくらい」摂取することが望ましいか、そして「注意点」まで、いくつかの具体的なポイントが示されています。これらを理解することは、製品選びの大きなヒントになります。
【対象は?】妊娠を計画している・妊娠の可能性があるすべての女性
葉酸の十分な摂取が望まれるのは、すでに妊娠している女性だけではありません。特に重要とされているのは**「妊娠を計画している女性」や「妊娠の可能性がある女性」**です。赤ちゃんの重要な器官は妊娠に気づく前に形成が始まるため、いつ妊娠しても良いように備えておくことが望ましいとされています。
【時期は?】「妊娠1ヶ月以上前」から「妊娠3ヶ月」までが特に重要
特に葉酸が必要とされるのは**「妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで」**の期間と言われています。しかし、妊娠中期・後期や授乳期においても、赤血球の形成や細胞の成長に葉酸は必要な栄養素であるため、通常より多くの摂取が推奨されています。そのため、授乳期が終わるまで摂取を続ける方もいるようです。
【種類は?】吸収面で効率が良いとされる「モノグルタミン酸型」の葉酸
公的な資料で摂取が推奨されているのは、吸収面で効率が良いとされる「モノグルタミン酸型」の葉酸です。サプリメントを選ぶ際には、成分表示を確認し、この「モノグルタミン酸型葉酸」が使われているかチェックすることが一つのポイントになります。一部で「天然葉酸」などが良いと謳われることもありますが、神経管閉鎖障害のリスク低減効果との関連性が多くの研究で報告されているのは「モノグルタミン酸型葉酸」です。
【目安量は?】食事とは別に、サプリで1日「400µg」
推奨されている量は、通常の食事から摂る240µgに加えて、サプリメントから1日400µgを付加するというものです。µgは「マイクログラム」と読み、1mgの1000分の1の単位です。市販の葉酸サプリの多くは、この基準を参考に400µg〜480µg程度の葉酸を含んでいるようです。製品の成分表示で、1日あたりの摂取目安量で何µgの葉酸が摂れるかを確認しましょう。
【注意点は?】サプリからの上限摂取量は1日「900~1000µg」
葉酸は水溶性ビタミンのため、余分な量は体外に排出されやすいとされていますが、サプリメントからの過剰な摂取には注意が促されています。厚生労働省は、サプリメント等(モノグルタミン酸型葉酸)からの摂取上限量を、成人で1日あたり900µgまたは1000µg(年齢により異なる)と定めています。通常のサプリを規定量飲んでいれば超えることは稀ですが、複数のサプリを併用する場合は合計量に注意すると安心です。
出典情報 これらの数値はすべて、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考にしています。
3. 後悔しないための製品選び|葉酸サプリ比較5つのポイント
公的な推奨内容を理解したところで、次は実践的な「選び方」です。数ある商品の中から自分に合ったものを選ぶために、一般的に重要とされる比較のポイントを5つご紹介します。
表:葉酸サプリ比較検討チェックリスト
チェック項目 | 見るべきポイント | なぜ注目されるか? |
---|---|---|
1. 葉酸の種類と量 | モノグルタミン酸型葉酸が400µg以上含まれているか? | 公的な推奨基準を満たしているかを確認する基本のポイント。 |
2. 製造・品質管理 | GMP認定工場で製造されているかなど、品質管理体制はどうか? | 毎日口にするものだからこそ、製品の安全性を確認したいというニーズから。 |
3. 含まれる成分 | 鉄・カルシウムなど他の栄養素は?不要な添加物は少ないか? | 自身の食生活や体調に合わせて、必要な成分やシンプルな処方を求める視点。 |
4. 継続しやすさ | 無理なく続けられる価格か?粒の大きさや匂いはどうか? | 効果を期待するには継続が前提となるため、続けやすさは重要な要素。 |
5. 情報の透明性 | 成分の産地や品質検査の結果などを公式サイトで公開しているか? | 企業の製品に対する姿勢や誠実さを判断する一つの材料になる。 |
【必須】葉酸が「モノグルタミン酸型」で400µg以上配合されているか
まず確認したい基本の項目です。商品のパッケージ裏面にある「栄養成分表示」を見て、「葉酸 400µg」といった記載があるかを確認します。多くのメーカーは、公式サイトでも「モノグルタミン酸型葉酸を〇〇µg配合」といった形で情報を公開しています。
【安全】GMP認定工場など、安全な品質管理体制で製造されているか
GMP(Good Manufacturing Practice)とは、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準です。GMP認定工場で製造されている製品は、その基準に沿った品質管理が行われていることの証しであり、製品の安心感を判断する一つの指標とされています。
【成分】自分に必要な栄養素が含まれ、不要な添加物が少ないか
葉酸サプリには、鉄分やカルシウム、ビタミンDなど、他の栄養素が一緒に配合されているものも多くあります。例えば貧血が気になる方は、鉄分が含まれている製品に注目してみるのも一つの方法です。一方で、着色料、甘味料、香料などの添加物が気になる方は、それらが使われていないシンプルな処方の製品を選ぶ傾向にあります。
【継続性】無理なく続けられる価格と形状(粒の大きさ・匂い)か
葉酸サプリは、ある程度の期間、継続して摂取することが一般的です。そのため、経済的に無理なく続けられる価格帯であることは大切なポイントです。1日あたりのコストを計算し、家計と相談してみることをお勧めします。また、匂いに敏感な時期でも飲みやすいか、粒の大きさはどうかといった、物理的な続けやすさも口コミなどで確認すると良いでしょう。
【情報開示】公式サイトで成分や産地、検査結果が公開されているか
企業の姿勢を知る上で、情報開示の透明性は参考になります。信頼できるメーカーの中には、使用している成分の原産国を開示したり、放射能検査や残留農薬検査といった自主的な品質検査の結果を公式サイトで公開したりしているところもあります。こうした情報は、製品の安全性を判断する上での一つの材料となります。
【比較】「厚労省推奨」を謳う葉酸サプリを選ぶ際の視点
ウェブサイトや広告で「厚生労働省推奨!」という言葉を見かけることがありますが、この言葉の解釈には注意が必要です。前述の通り、厚生労働省が個別の商品を推奨・認定しているわけではありません。この表現は、多くの場合**「厚生労働省が推奨する栄養摂取基準を満たした商品です」**といった意味合いで使われています。
この点を理解しておくと、広告のキャッチコピーを冷静に見ることができます。ランキングサイトを利用する場合も同様に、「なぜこの商品が上位なのか?」その選定基準が、先ほど紹介した「5つの比較ポイント」のような客観的なものに基づいているか、ご自身の目で確認する視点を持つことが大切です。
葉酸サプリに関するよくある質問(Q&A)
ここでは、葉酸サプリについて多くの方が抱きがちな疑問点と、それに対する一般的な回答をご紹介します。
Q1. 葉酸サプリはいつ飲むのが良いですか?
一般的に、サプリメントは食品ですので、いつ飲んでも効果に大きな差はないとされています。胃腸への負担が気になる場合は、食後に飲むのがおすすめです。それ以上に、飲み忘れないように時間を決めて習慣化することが、継続のコツと言えるでしょう。
Q2. 体調が悪くてサプリが飲めません。どうすればいいですか?
無理に飲む必要はありません。体調が良い時に試してみるのが良いでしょう。サプリの匂いが気になる場合は、匂いを抑えた製品や、小粒タイプの製品を試してみるという方法もあります。どうしても固形物が難しい場合は、ゼリータイプなどの製品を探してみるのも一つの選択肢です。
Q3. 飲み忘れてしまいました。まとめて飲んでも大丈夫ですか?
1日飲み忘れても、過度に心配する必要はないと言われています。しかし、思い出した時に2日分をまとめて飲むことは推奨されていません。葉酸は水溶性ビタミンなので、一度にたくさん摂取しても、余剰分は体外に排出されやすい性質があるためです。翌日からまた規定量を再開するのが一般的です。
Q4. 「天然葉酸」と書かれているサプリの方が良いのでしょうか?
「天然」という言葉は安心なイメージがあるかもしれませんが、神経管閉鎖障害のリスク低減との関連で多くの研究報告があり、厚生労働省の資料でも言及されているのは、吸収面で効率の良い**「モノグルタミン酸型葉酸」**です。製品選びでは、言葉のイメージだけでなく、こうした背景も参考にすることをおすすめします。
まとめ:正しい情報を基に、ご自身に合った葉酸サプリを選びましょう
今回は、厚生労働省の公開情報を基に、葉酸サプリについて解説しました。最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 厚生労働省は、妊活・妊娠初期の女性に対し、栄養補助食品から「モノグルタミン酸型葉酸」を1日400µg摂取することを推奨している。
- 製品を比較する際は、公的な基準を満たしているかを基本に、「品質管理」「成分」「継続しやすさ」「情報透明性」といったポイントをチェックするのがおすすめ。
- 「厚労省推奨」という言葉は、個別の商品認定ではないことを理解し、客観的な情報に基づいてご自身で判断することが大切。
多くの情報があって、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるかと思います。しかし、公的な情報を正しく知り、比較する視点を持つことで、ご自身が納得できる製品選びに繋がります。
この記事が、あなたの葉酸サプリ選びの一助となれば幸いです。
参考文献
本記事の執筆にあたり、以下の文献を参考にしました。
日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果|e-ヘルスネット(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kizyun.html
神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html
GMPマークを目印に健康食品を選びましょう!|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/kenkou_shokuhin_gmp.pdf
「健康食品」の安全性・有効性情報 – 葉酸|国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibn.go.jp/contents/detail180.html