コラム
column

葉酸サプリはいつまで飲む?推奨される期間と根拠を徹底解説!一生の必要性は?

「妊婦がスマホで情報検索する写真と『葉酸サプリはいつまで飲む? 推奨される期間と根拠を徹底解説』の見出し入り」

葉酸サプリが妊娠に大切なのは知っているけど、「一体いつからいつまで飲めばいいの?」「授乳期が終わったらやめても大丈夫?」そんな疑問や不安を抱えていませんか?多くの情報があふれる中で、本当に信頼できる答えを見つけるのは難しいと感じるかもしれません。

この記事では、厚生労働省などの公的なデータを基に、葉酸サプリを飲むべき最適な期間とその科学的根拠を、誰にでも分かりやすく解説します。この記事を最後まで読めば、あなたの疑問や不安はスッキリ解消され、ご自身と未来の赤ちゃんのために、自信を持って最適なアクションを取れるようになります。

結論:葉酸サプリは「妊娠1ヶ月前から授乳期の終わりまで」が推奨期間

早速、結論からお伝えします。葉酸サプリの摂取が推奨される期間は「妊娠を計画している時期(妊娠の1ヶ月前)から、授乳期が終了するまで」です。

ただし、この期間中、常に同じ重要度というわけではありません。特に、胎児の脳や脊髄が作られる「妊娠1ヶ月前から妊娠初期(12週頃)」が、赤ちゃんの先天性異常のリスクを低減するために最も重要な期間とされています。それ以降の期間も、赤ちゃんの成長とママの健康を支えるために、葉酸は大切な役割を果たします。

次の章からは、なぜこの期間に葉酸が必要なのか、具体的な理由をさらに詳しく掘り下げていきます。

	「カレンダー・心臓・妊婦・哺乳瓶アイコンで妊活準備〜授乳期を並べた横タイムライン。『妊娠1ヶ月前〜授乳期終了まで推奨』と強調」
  • 妊活準備期(妊娠1ヶ月前~): 赤ちゃんを迎えるための体づくり
  • 妊娠初期(~12週頃)【最重要】: 赤ちゃんの先天性異常のリスクを低減
  • 妊娠中期・後期(13週頃~出産): 赤ちゃんの成長とママの貧血予防
  • 授乳期(出産後~終了まで): 母乳への栄養供給とママの回復サポート

【時期別】葉酸サプリはなぜ必要?いつまで飲むべきかの根拠を解説

葉酸サプリを飲むべき理由は、あなたのライフステージによって異なります。ここでは、「妊活・妊娠初期」「妊娠中期・後期」「授乳期」の3つの時期に分けて、なぜ葉酸が必要なのか、その科学的な根拠を詳しく見ていきましょう。

ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

時期主な目的1日の推奨摂取量(合計)食事から付加推奨量
妊活期~妊娠初期胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減640μg240μg400μg
妊娠中期~後期胎児の成長、母体の貧血予防480μg240μg240μg
授乳期母乳への栄養供給、母体の回復340μg240μg100μg

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より作成
※妊娠中期以降の付加推奨量は、食事からの摂取が基本です。食事内容に応じてサプリメントで補うこともできますが、サプリメントでの摂取が特に推奨されるのは妊娠初期の400μgです。

①最も重要:妊活中~妊娠初期(妊娠1ヶ月前~妊娠12週頃)

この期間は、お腹の赤ちゃんの脳や脊髄といった中枢神経系の基礎が作られる、最も重要な時期です。厚生労働省は、この時期に十分な葉酸を摂取することで、胎児の「神経管閉鎖障害」という先天性異常の発症リスクを大幅に低減できると報告しています。

具体的には、通常の食事から摂取する240μgの葉酸に加え、サプリメントから400μg/日の葉酸を付加的に摂取することを推奨しています。妊娠が判明してから慌てて飲み始める方も多いですが、重要な器官は妊娠のごく初期に形成されるため、妊娠を計画している段階から摂取を開始することが理想です。

食事の葉酸とサプリの葉酸の違いとは?

「なぜわざわざサプリで摂る必要があるの?」と疑問に思うかもしれません。その理由は、食事に含まれる葉酸とサプリメントの葉酸では、体内での吸収率が大きく異なるからです。

食事に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型)は、体内での吸収率が約50%にとどまります。一方、サプリメントに使われる葉酸(モノグルタミン酸型)は、吸収率が約85%と非常に効率的です。神経管閉鎖障害のリスク低減効果が確認されているのは、この吸収率の高いサプリメントの葉酸であるため、サプリでの摂取が強く推奨されているのです。

項目食事の葉酸サプリの葉酸
種類ポリグルタミン酸型モノグルタミン酸型
体内での吸収率約50%約85%
特徴熱に弱く調理で失われやすい安定していて効率的に摂取できる
多く含まれる食品ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、レバーなどサプリメント

②妊娠中期~後期(妊娠13週頃~出産まで)

妊娠中期から後期にかけても、葉酸は引き続き重要な役割を果たします。この時期の主な目的は、赤ちゃんの継続的な発育サポートと、ママ自身の貧血予防です。

葉酸は、赤血球を作る「造血作用」に不可欠なビタミンです。妊娠中は、赤ちゃんに栄養を送るために血液量が大幅に増加するため、多くの妊婦さんが鉄欠乏性貧血になりやすくなります。葉酸を十分に摂ることで、血液をスムーズに作り出し、貧血を防ぐ助けとなります。

厚生労働省によると、この時期は通常の推奨量240μgに加えて、さらに240μg、合計で480μg/日の葉酸摂取が推奨されています。食事から十分に摂ることが基本ですが、つわりなどで食事が偏りがちな場合は、サプリメントで補うことも有効な選択肢です。

③授乳期(出産後~授乳終了まで)

出産後、葉酸サプリをやめてしまう方もいますが、それは少しもったいないかもしれません。授乳期も、葉酸の摂取が推奨される大切な期間です。

その目的は、母乳を通じて赤ちゃんに十分な栄養を届けること、そして産後のママ自身の体を回復させることです。葉酸は血液の生成を助けるだけでなく、細胞の再生にも関わるため、産後の体力回復を支え、健康な髪の維持にも寄与すると考えられています。

この時期は、通常の推奨量240μgに100μgを加えた、合計340μg/日の摂取が推奨されています。赤ちゃんのため、そしてご自身のために、授乳期が終わるまでは葉酸の摂取を意識することをおすすめします。

「葉酸サプリは一生飲むべき?」妊娠期間外での必要性と効果

「推奨期間が終わったら、きっぱりやめてもいいの?」「いっそ一生飲み続けた方が健康に良いの?」こうした疑問も当然湧いてきますよね。結論から言うと、妊娠・授乳期間外での葉酸サプリの摂取は必須ではありません。しかし、ご自身の食生活や健康状態によっては、飲み続けることで多くのメリットが期待できます。

葉酸は、ビタミンB群の一種であり、性別や年齢に関わらず、すべての人間の健康維持に必要な栄養素です。主な働きは、赤血球の生成を助けたり、細胞の生産や再生をサポートしたりすること。これにより、以下のような効果が期待できます。

  • 貧血の予防・改善: 日常的に立ちくらみや倦怠感がある場合に役立ちます。
  • 動脈硬化のリスク低減: 葉酸は、動脈硬化の原因物質とされる「ホモシステイン」というアミノ酸の血中濃度を正常に保つ働きがあることが、強固なエビデンスによって示されています。
  • 肌や髪の健康維持: 細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)を助ける役割を担うため、肌や髪の健康にも関わっています。

判断の基準は、「普段の食事で葉酸を十分に摂取できているか」です。外食が多い、野菜をあまり食べないなど、食生活に偏りがある方や、将来の健康のために投資したいと考える方は、健康維持の一環としてサプリを継続するのも良い選択と言えるでしょう。

葉酸サプリの安全性とよくある質問(Q&A)

最後に、葉酸サプリを飲む上での安全性や、多くの人が抱く細かい疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q1. 葉酸サプリを飲みすぎるとどうなる?副作用はある?

A. 用法・用量を守れば過剰摂取の心配は少ないですが、注意点もあります。

サプリメントからの葉酸の耐容上限量は、厚生労働省により18~29歳で900μg/日、30~64歳で1,000μg/日と定められています。市販の葉酸サプリは1粒あたり400μg前後のものがほとんどなので、通常の摂取で上限を超えることは考えにくいでしょう。

ただし、過剰摂取で最も注意すべき点は、ビタミンB12欠乏症の発見が遅れるリスクがあることです。葉酸を摂りすぎると、ビタミンB12欠乏による貧血の症状が隠されてしまい、診断が遅れる間に神経系の重篤な症状が進行する恐れがあります。複数のサプリを併用する場合は、必ず合計量を確認しましょう。

Q2. 妊娠に気づくのが遅れた!今から飲んでも意味ない?

A. いいえ、意味がないことは決してありません。気づいた時点からすぐに飲み始めてください。

たしかに、神経管閉鎖障害のリスク低減という点では、妊娠初期が最も重要な時期です。しかし、前述の通り、葉酸は妊娠中期以降の胎児の成長や母体の貧血予防、さらには授乳期にも不可欠です。「もう遅いかも」と諦めずに、ご自身と赤ちゃんのために、今日から摂取を始めましょう。

Q3. 飲み忘れた場合はどうしたらいい?

A. 1日飲み忘れても、大きな影響はありませんので安心してください。

飲み忘れに気づいた時点で1回分を飲み、翌日からはまた通常通りの時間に摂取すれば大丈夫です。ただし、思い出したからといって、2回分を一度にまとめて飲むのは避けてください。毎日続けることが大切ですが、少し忘れたくらいで自分を責める必要はありませんよ。

Q4. 男性も妊活のために葉酸サプリを飲んだ方がいいの?

A. いいえ、現在のところ推奨されていません。

かつて、葉酸が精子の質を改善する可能性が研究されていましたが、近年の大規模で信頼性の高い研究では、葉酸サプリメントを摂取しても精子の質や出産率は改善しないという結果が示されています。

そのため、現在のところ、男性が妊活のために葉酸サプリメントを摂取することは一般的に推奨されていません。

まとめ:自分に必要な期間を理解し、納得して葉酸サプリを活用しよう

今回は、葉酸サプリをいつまで飲むべきかという疑問について、その推奨期間と科学的な根拠を詳しく解説しました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  • 推奨期間: 葉酸サプリは「妊娠1ヶ月前から授乳期の終わりまで」飲むのが最も効果的です。
  • 最重要期間: 特に「妊娠初期」は、胎児の先天性異常のリスクを低減するために極めて重要です。
  • 授乳期も大切: 授乳期も、赤ちゃんとママの健康のために摂取を続けましょう。
  • 一生飲む必要は?: 必須ではありませんが、食生活に応じて健康維持のメリットが期待できます。
  • 安全性: 推奨される用法・用量を守り、過剰摂取(特にビタミンB12欠乏症の発見遅延リスク)には注意が必要です。

この記事を通じて、葉酸サプリに対するあなたの疑問や不安が解消され、「いつまで飲むべきか」が明確になっていれば幸いです。ご自身のライフステージに合わせて、納得のいく形で葉酸サプリを活用し、健やかで前向きな毎日をお過ごしください。

どのサプリを選べば良いか迷っている方は、自分に合った葉酸サプリの選び方を解説した記事もぜひ参考にしてみてください。あなたのサプリ選びをきっとサポートしてくれるはずです。

参考文献・参照

本記事の作成にあたり、以下の公的機関の情報を参照しています。

監修者
院長

たけつな  のぶひと

竹綱 庸仁

経歴

平成16年愛知医科大学医学部卒業

愛知医科大学院病院 卒後臨床研修医

平成18年愛知医科大学病院 小児科入局

平成23年愛知医科大学小児科 助教

平成29年たけつな小児科クリニック開院

所属
学会

日本小児科学会(専門医/指導医)

日本外来小児科学会

日本小児科医会(地域総合小児医療認定医)

日本小児神経学会

Copyright たけつな小児科クリニック.
All Rights Reserved.

トップへ戻る